2013年6月23日日曜日

ステキな旦那

先週の金曜日にお宅を訪問してきた。
お宅の主はNathalie(ナタリー)。
彼女は私の通う語学学校の先生で、私が一番信頼している先生だ。
知的で授業の展開は、かなり計算されている。そして面白い。

授業時間外は質問しないでねオーラがある先生たちの中で、
彼女は熱心に質問に答えてくれる。
今回インテリアデザインの学校へ提出した履歴書やモチベーションレター等も
彼女の類希なるフォローアップがあったからこそと思っている。


数日、その彼女を指名して個人レッスンを受けていたのだが、
テーマを建築にしてしまった所為か、Nathalieも分からないことが出てきた。
そこで旦那が、Maçon(マソン/石工・左官工)であるので、
彼に聞くと早いかも…となって、彼女のおうちに訪問することになったのだ。


旦那さんと2人で数年かけて試行錯誤してつくった家らしく、
何がこの目で見れるのか、楽しみでしかたなかった。

南西からの陽が強く差す。テラスにはコンクリ生成器が。

120坪くらいはあろうかという大きな敷地に、
35坪くらいの家が立っていた。
南西側の敷地の大半は育ちっぱなしの花壇と、
手入れを忘れてしまって、力のあるハーブだけが生き残る野菜畑、と
とってもナチュラル。
そこに赤く日焼けして、笑い皺をみせるステキな旦那さん、登場。


Enchanté(アンシャンテ)


地下のカーヴから、
1階、2階と3層を案内してもらって随所に
彼らの好みやオリジナリティを感じる作品を見せてもらった。
たくさんあるけど長くなるから、2つだけ紹介します。


サイドテーブルにはおしゃれな水タバコ。


まず一つ目。
上のサイドテーブルは、
階段の手すり(金属製)と余ったブリックで作ったハンドメイド作品という。
そんなこともしてしまうんですか。
器用な旦那をもつとこんなことも余り物でできるのか…と
思ってしまった瞬間。センスと技術の問題ですね。


もう一つは、このバー。
以前の家を解体する時に出た古材(16世紀もの)を使ってフレームを作り、
その隙間に薄く削ったブリックを重ねモティーフを作る。
この重ね方は15世紀〜16世紀に立てられた Normandie地方の
Manoir(マノワール・中世の領主の館)でよく使われたモティーフ。
どこかのManoirを見に行ったときに、気に入って再現したのだという。
というか、自分で再現できちゃうからかっこいい。


おしゃれなミニバー。

縦木と横木に刻まれたサイン、見えますか??


そして 職人を思わせるのが、このサイン。
古材同士を繋ぐときに、接続位置を間違えないように、刻むサイン。
職人によってサインは違うという。
きっと日本だと、こういうのは後で釘隠しみたいなもので隠したり、
消えるように墨で書いたりする。
傷物といえばそうだけど、
誰かが労を費やし作ったものなのだということが
改めてわかるから、私はこの愛着のあるシルシが好きだ。


あくまで自然なもの、オリジナリティの大切さを作品を通して教えてくれたdeloy夫妻。
やはり家には人間としての知恵が集結している。
そこを知ったり、読み解くのが面白い。


そうそう、最後にもう一つ。
Nathalieが今日雨が降るか降らないかを判断するのが、
玄関先にあるこの松ぼっくり。


右の松ぼっくりが反応がいいらしい。


松ぼっくりは、種子を遠くに飛ばすのに、湿度の低い日には開いて、
湿度の高い日には縮むという習性があるという。
聞いたことあるような?
なので、朝の松ぼっくり開き具合を確認して、
傘を持つかどうかを決めるそう。


そんな自然を利用した独自天気予報をするNathalie。
確かにフランスのmétéoよりあたるかも。
しかしこの情報を仕入れた先が、
道端でおじいさんが子供に話しているのを偶然聞いたからだという。
それを聞いて確かめている堅実なNatalieも大好きだ。
最後の最後でフランス人らしい
L'art de vivre (ラールドヴィーヴル/暮らしの術)を
知る貴重な一日だった。


最後は3人でご自慢のCave(カーヴ)から取り出された
1999年のChablis(シャブリ)を飲んで乾杯!